先輩移住者

ホテル勤務のキャリアを生かして都城へ。心でつながる接遇を伝えたい

2024.03.12公開

北九州市出身の藤原貴志さんは小倉の有名ホテル「リーガロイヤルホテル小倉」で15年間活躍したベテランホテリエ。小倉にいた頃、大病に見舞われましたが幸いにも症状は軽く、無事回復しました。ちょうどその頃、コロナ禍に突入。「体を労りながら、穏やかに暮らしたい」と思うようになり、妻・ともみさんが幼少期を過ごした都城へ移住しました。現在は都城市の中心部にある「ホテルテラスタ」に勤務し、長年培ったホテリエとしての手腕を振るっています。

藤原 貴志さん(51歳) ともみさん(51歳)
  • 先輩歴|2020年に移住
  • 職業|貴志さん: ホテルテラスタ 「鉄板焼 都雅」 マネージャー  ともみさん: ホテルテラスタ 「鉄板焼 都雅」 スタッフ
小倉時代のお客様とは今もご縁が続いている

小倉時代のお客様とは今もご縁が続いている

「リーガロイヤルホテル小倉」を退職後、先輩のワインバー開業をサポートしていた貴志さんを突然襲った大病。退院後、自分の体と相談しながらホテル業界で転職を重ねていましたが、コロナ禍に突入し、勤めていたホテルが閉館する事態に。以前から貴志さんの健康を心配していたともみさんは「これを機に私が子どもの頃に暮らしていた都城に移住して、新しい生活を始めない?」と提案。その言葉をきっかけに貴志さんも移住を決意しました。

Q 移住前に都城を訪れたことはありましたか?

私は小学校1年生の夏休みくらいまで都城で育ちました。その後は父の転勤で宮崎県内を転々としましたが、祖父母が都城にいたので、時々遊びにきていました。祖父母の家があったことも、都城への移住を決める安心材料になりました(ともみさん)。

妻と結婚するまで、都城はおろか宮崎県にも足を踏み入れたことがありませんでした。宮崎市にいる妻の両親に結婚の挨拶に行った際、義母の出身地・都城を案内してもらったのですが、高速道路を降りた瞬間「山々に囲まれた美しい場所だな〜」という印象を受けました。当時は将来都城に移住するとは夢にも思いませんでしたが、具体的に移住を考え始め、仕事の面接などで訪れる度に、街の美しさや人の温かさに触れ、都城が好きになっていきました(貴志さん)。

Q 仕事はどうやって見つけましたか?

ホテル業界が長かったので、都城でもキャリアを生かせないかと考えました。小倉のハローワークを訪れたところ、「ホテルテラスタ」が開業スタッフを募集していることを知り、履歴書を送った後、2回の面接を経て採用が決まりました。面接の際は都城市の移住支援制度のひとつである「お試し滞在制度」を利用しましたが、宿泊費の補助をしてもらえたので大変助かりましたね。実際に移住してくる時も、引っ越し費用の一部の補助を受けられる「転職応援補助金」(※)を活用しました。
 
※令和4年度までの移住支援制度

「ホテルテラスタ」ではレストラン「鉄板焼 都雅」の責任者として勤務。お客様一人ひとりに寄り添う温かな接客を心がけている

「ホテルテラスタ」ではレストラン「鉄板焼 都雅」の責任者として勤務。お客様一人ひとりに寄り添う温かな接客を心がけている

笑顔が素敵なともみさん。常に“お客様目線”を心がけているそう

笑顔が素敵なともみさん。常に“お客様目線”を心がけているそう

Q 都城で暮らして良かったと思うことは?

たくさんあるのですが、まずは星の美しさに驚きました!仕事帰りに美しい星空を見上げると「こんな美しい場所に移住できて良かった」と思わずにいられません。後で知ったのですが都城市高崎町は「日本一星空の美しい町」に7回も選ばれているとか。
あと、仕事でもプライベートでも、関わるすべてのかたがとても優しいですね。あと、小倉では夫婦ふたりだけの暮らしでしたが、移住後は妻の両親や親族との関わりも増え、親戚付き合いの楽しさを実感しています(貴志さん)。
 
40数年ぶりに都城に戻りましたが、生活するうえで不自由さを感じることは何もないですね。幼かった私のことを覚えてくださる近所のかたがいてくれて、「帰ってきたの〜!?」と声をかけてくださったのがとても嬉しかったです。知り合いも増えましたし、都城には病院もたくさんあるのでこれから歳をとって生活していくことへの不安はありません(ともみさん)。

Q おふたりは今、同じ職場にいらっしゃるとか

そうなんです。私がここで働きだし、夜のパソコン作業などに悪戦苦闘していたところ、妻が事務作業を手伝ってくれるようになり、それを知った会社が「奥様も一緒に働きませんか?」と受け入れてくれました。「そんなことってあるのか?」と驚きましたが、改めて都城の人の優しさを感じましたね。妻もサービス業に携わった経験があり、私が気づけなかったことに気づいてフォローしてくれるので非常に助かっています(貴志さん)。

年齢を重ねてサービス業に就くと“ベテランスタッフ”のように思われ、安心していただけるお客様も多いようです。私たちはそれぞれが長く仕事人生を送った者同士の大人婚なので、職場にプライベートを持ち込まず、周囲ともいい関係性をつくれるように心がけています(ともみさん)。

Q 休日はどのように過ごしていますか?

休日も職場のことが気になってしまって、午前中だけ職場に顔を出すこともあり、丸1日ゆっくり体を休めるということがあまり多くないのですが、私も妻もワイン好きなので、仕事終わりに都城市内のワインバーへ行ったりしています。店主こだわりのラインナップを誇るお店も多く、ワイン会もよく開催されているんですよ(貴志さん)。
 
都城にはどんどん新しいお店が増えています。食べに行ったお店のかたが「今度はホテルに食事に行くよ」と来てくださることもあるんですよ。都城は人と人のつながりを大切にするかたが多くて、温かいと思いますね。また、移住してから宮崎市内の両親のところによく行くようになりました。車で1時間程度なので、日帰りでさっと顔を出せるのが嬉しいです(ともみさん)。
 

いつも仲良しのおふたり。市内のワインバーなどで開催されるワイン会にも積極的に参加している

いつも仲良しのおふたり。市内のワインバーなどで開催されるワイン会にも積極的に参加している

スタッフのチームワークもバッチリ!

スタッフのチームワークもバッチリ!

Q これからの目標を教えてください。

ホテルも新しく、スタッフの世代も若いので、少なからずホテル業界に長くいた立場で後進の育成にあたっていきたいと考えています。目に見えるサービスの技術的なことを教えるのは簡単ですが、目に見えにくいホテリエとしての心構えやお客様と向き合う姿勢は、教えるのが難しく一番重要です。笑顔を大切に、人と人同士、心でつながれるような接客を若いスタッフに伝えていきたいですね。現役を引退しても自分が客として行きたくなる店にすることが目標です(貴志さん)。
 

Q 都城市への移住を考える人にアドバイスをお願いします。

まずは「移住・定住サポートセンター」に連絡して、話を聞いてみるのが一番いいと思います。親身になって相談にのってもらえます。都城の人たちは移住者に優しいですし、私も“よそ者扱い”を受けたことは一度もありません。実際に移住してみると、毎年、街がどんどん元気になっているのを実感します。ミドルエイジでも今までのキャリアを生かして活躍できる場はたくさんあるので、躊躇せずに動いてみるのもいいと思います(貴志さん)。
 
都会にあったものがないからと残念がっても仕方がありません。仕事でも、趣味でも、なにか集中できるものを見つけられるといいと思います。とはいえ、都城は都市機能も充実しているので、生活していくうえで困ることはありません。住めば住むほど良さを実感できる街だと思います(ともみさん)。

「都城に移住して、仕事もプライベートも充実した日々です」と貴志さん

「都城に移住して、仕事もプライベートも充実した日々です」と貴志さん

Editor’s note!

大人婚のおふたりに漂っている穏やかな空気感。年齢を重ねて慣れ親しんだ場所から暮らしを変える大変さもあったのでしょうが、都城に移住した今、心も体も安定した暮らしが叶い、満足感にあふれている様子でした。「ホテル前の広場に設けられるクリスマスのイルミネーションが本当にキレイで、毎年バージョンアップしているんです。この光が街中に広がっていったらいいな〜」と貴志さん。ここ数年で「都城市立図書館」や「テラスタ」といった新しい施設もでき、街の中心部に活気が戻りつつある今、その言葉はこれからの都城の明るい未来を表しているように聞こえました。