先輩移住者

都城から全国へ。厳選素材のスコーンを届けたい

2023.07.10公開

東日本大震災をきっかけに、カフェ開業の夢を叶えるべく都城に移住した甲賀さん一家。達巳さんがつくる厳選素材を使った美味しいスコーンは、地元はもとより関東でも大人気。家族3人で、仲良く穏やかな移住生活を送っています。

甲賀達巳さん(43歳) 麻衣子さん(47歳) 圭人くん(13歳)
  • 先輩歴|2013年移住
  • 職業|「PARK miyakonojo」経営

難病克服や震災。カフェ開業の夢。
さまざまな要素が重なり移住を決意

東京出身の達巳さんと都城で生まれ、東京で育った麻衣子さんは働いていたメッセンジャーの会社で出会って結婚。麻衣子さんは長く原因不明の痛みに悩まされていましたが、食生活を見直したところ徐々に症状が改善し、それを機に食に興味を持つようになりました。また、圭人くんが1歳の頃、東日本大震災が発生。都会での暮らしに不安を感じたことや、ふたりでカフェを開くという夢を抱いていたこと、穏やかにのんびりと暮らしたいと考えていたことなどさまざまな要素が重なり、麻衣子さんのお母様の故郷・都城に移住を決めました。

メッセンジャーの会社で働いていた当時
移住した当時

Q 難病を克服されたことが移住のきっかけに?

中学時代から“なんでこんなに疲れやすくて体が痛いんだろう?”と思っていたのですが、検査しても原因がわかりませんでした。でも、年々症状はひどくなり、結婚した頃は日常生活にも支障がでてきたので8軒くらい病院を訪ねてやっと「線維筋痛症」と診断を受けました。難病なので治療法がなく“将来は寝たきりになる”と言われたのですが自分で病気のことを色々調べ、口にするものを変えて身体を冷やさないようにしたら1年くらいで徐々に症状が改善してきたんです。やっぱり食って大事だな〜と実感しました。そんな頃、震災が起き、店頭からあっという間にお水やおむつが消えたのを目の当たりにし、東京で暮らすことに不安を感じました。もともと私はカフェを開くのが夢で、当時夫もパン職人をしていたのでカフェ開業を目指して移住しようということに。母も老後は故郷である都城の方が暮らしやすいのではと家族で話し合い、、2013年に移住しました。

現在のスコーン専門店:PARK miyakonojo

現在のスコーン専門店:PARK miyakonojo

Q 移住と同時にカフェを開業されたのですか?

お店を開いたのは移住から3年後です。移住当時は支援制度がなかったので、とにかく1日も早く仕事を見つけなければ!と必死でした。夫はすぐにベーカリーで働き始めましたが、私は無職だったので子どもをなかなか保育園に預けられず、就職活動が進まなくて…。しばらくして、たまたま参加した異業種交流会で知り合った方に紹介していただいたオーガニックレストランで働いたり、IT企業でパートをしながら開業資金を貯め、2016年にお店をオープン。開店当時はカフェでしたが、レジ横で販売していたスコーンが人気となり、スコーン専門店に業態変更しました。

Q 何かご苦労されたことはありましたか?

最初の半年くらいは“移住ハイ”みたいな感じで楽しくて仕方なかったですね(笑)。生活が落ち着いてきた頃、少しだけ地元の方に壁を感じたこともありましたが、地域の活動に参加するなど積極的に人と関わっていったことで徐々に馴染めました。実は2018年に夫が急性混合性白血病になり骨髄移植を受けたのですが、お見舞金をいただいたり、手が回らない私を見て子どもを預かってくれたり、地域のみなさんには本当に助けてもらいました。心が折れそうになっても頑張れたのは都城のみなさんのおかげだと心から感謝しています。

Q これから移住を考える方へのアドバイスをお願いします

バスはありますが本数が少ないので車はあった方がいいです。人付き合いについては、無理にコミュニティに馴染む必要はないかもしれませんが、自分から関わっていけば世界は広がります。まずはその土地の文化や人をリスペクトして暮らすことが大切なんじゃないかな。なんといっても都城は空気がキレイで美しい自然に心癒されますし、都会の利便性も適度に備えている。都城は移住者にとって暮らしやすい街だと実感する日々です。まさに私にとっては「住めば住むほど都城」!この街がどんどん好きになっています。移住は大きな決断ですが、人生は一度きり。“楽しもう!”という気持ちでチャレンジすることをオススメします。

Editor’s note!

地方でのカフェ開業を目指し、移住を決めた甲賀さん一家。現在はカフェをクローズし、別の場所でスコーン専門店を開業。厳選素材を使ったスコーンは宮崎空港や東京のオーガニックストア、ECサイトなどで販売されています。「スコーンを作りたいと思ったのはハワイで美味しいスコーンに出会ったから。いつかハワイの人々に主人が焼いたスコーンを食べてもらうのが夢なんです」と麻衣子さん。また、自転車好きの達巳さんは自転車利用者の地位向上や自転車利用促進を訴える世界的な社会運動「クリティカルマス」の宮崎版を都城でスタート。月に一回程度、みんなでサイクリングを楽しんでいます。「SNSを立ち上げたら、世界中の人からメッセージをもらえて嬉しいですね」と達巳さん。美しい自然の中で暮らしながら世界に発信し、国内外の人とつながっていく。甲賀さんのライフスタイルからは新しい移住のカタチが感じられます。